クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました



 それから二年間。

 ずっと彼女を見守ってきた。
 まじめに働く遙に好感を持ったけれど、それは上司としてであって恋愛感情ではなかったはずだ。


 まわりの男たちが遙に言い寄るたびに牽制し追い払ったのも、飲み会の場で毎回彼女が無事に家まで帰れるよう目を光らせていたのも、すべて真一から『妹を頼む』と頼まれたからだ。

 決して個人的な感情で動いているわけではない。

 そう思っていたのに、あの夜全てがひっくり返った。

 切羽詰まった様子の真一から『遙が家に帰ってこないんだ』と電話がかかってきた。
 彼女を飲み会に連れて行ったという新谷から飲んだ店を聞き出し、夜の街を必死に探し回った。

 ビジネスホテルの前で男に腕をつかまれ青ざめる彼女を見て、腹の奥から怒りが込み上げてきた。
 細い彼女の腕にちがう男が触れるのが許せなかった。


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