クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 これは俺を誘っているのか?
 これはむしろ手を出さない方が失礼なのでは?

 理性と欲望がせめぎあい、激しい戦いの末ギリギリのラインで理性が勝利する。


 もしこのまま手を出してしまったら、あの過保護で親ばかな社長と真一が黙っていない。
 大きなハサミを取り出して、去勢してやると叫びかねない。

 そんな笑えない想像をして背筋が冷たくなった。

 身に着けていた衣服を脱ぎ去り楽になったのか、遙は満足そうに息を吐きだすとベッドの上で丸くなる。

 無防備すぎる姿ですやすや眠る彼女に、俺は頭をかかえてため息をついた。

「人の気も知らないで……」

 しかし酔っ払いに文句を言っても仕方がない。
 俺はリビングのソファで寝よう。

 そう決めて、下着姿の彼女に毛布をかけてあげようとベッドにちかづく。
 すると寝ぼけた遙に腕をつかまれた。


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