クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました



「過保護な家族ですみません」

 申し訳なくて頭をさげると、新谷さんは首を横に振った。

「いや、宮下さんは謝らなくていいよ。全面的に無責任な俺が悪いんだから。でも激怒する社長と専務に説教されて、命の危機を感じちゃったよ」

「命の危機っておおげさな」

「いや、冗談じゃなくあらゆる意味で首を切られるかと思った」

 新谷さんは肩を震わせながら両手で自分の首を押える。
  
 いったい父と兄はどんな顔で新谷さんに話をしたんだろう。
 あんまり先輩を脅さないでとふたりに言っておかなきゃ。

「あの、できればこれからも父が社長だということは内緒にしてもらいたいんですけど……」

 私が社長の娘だと分かれば、周りの同僚や先輩に気を使わせてしまうかもしれない。
 そう思って新谷さんにお願いすると、彼は「もちろんわかってるよ」と深くうなずいた。
   

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