クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「まじで!? 宮下さんって二十四歳だよね? 本当に誰とも付き合ったことないの?」

 見るからにチャラそうな……、いや人づきあいが得意そうな新谷さんにとってみれば、この年まで恋人がいなかった私を理解できないんだろう。

「宮下さんかわいいのに、同級生に告白されたりしなかったの?」

「幼稚舎から大学までずっと女子だけの学校だったので、出会いがなくて」

「うわー。今時超貴重な箱入りのお嬢様だ」

 道端で絶滅危惧種を見つけたような口調で言われ、自分が恥ずかしくなる。

 私の唯一の恋は、大学生だった南部長に何度も好きだと告白をして相手にしてもらえずに玉砕したあの初恋だけだ。
 それ以来、異性との出会いは皆無だった。

 エスカレーター式の女子校とはいえ、ほかの同級生はアルバイト先やサークルなんかでしっかり出会いを探し恋人がいる子もたくさんいた。

 私が恋愛経験ゼロでここまできてしまったのは環境ではなく、私自身の問題なんだろう。



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