クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
しょんぼりと肩を落とすと、私の表情に気付いた新谷さんは慌ててフォローをしてくれる。
「宮下さん、そんなにへこまないでよ! 大丈夫、宮下さんはかわいいし真面目だし気が利くし!」
落ち込む私を元気づけるように、新谷さんは私の両手で肩をつかんで体を前後に揺らした。
そのせいでがくがくと頭が揺れて視界がぶれる。
手荒い励ましに目を回していると、背後から「宮下」と名前を呼ばれた。
ようやく新谷さんが肩を揺らす手を止めた。
くらくらしながら振り返ると、そこには南部長が立っていた。
たくましい長身にグレーのスーツをまとった彼は、相変わらず凛々しくてかっこいい。
「あ、部長!」
彼の姿を見た途端、新谷さんの背筋がピーンと伸びる。
少し顔が引きつっているのは、たぶん電話でたっぷり絞られたからだろう。