クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「新谷に先週末の件は電話で注意しておいた」
「あ、はい。さっき新谷さんも直接謝ってくれました」
私の言葉に部長は「そうか」とうなずく。
「銀行員の桑井のほうから、宮下と飲みたいと強引に頼まれたらしい」
新谷さんが『どうしても』としつこく拝み倒してきたのは、桑井さんに頼まれたからだったんだ。
銀行員の桑井さんは融資担当として何度かうちの会社に来ていて面識があった。
「新谷は資金調達の担当だから強く断れなくて仕方なくお前を誘ったらしいけど、女性社員は取引先の機嫌を取る道具じゃないとしっかりくぎをさしておいた」
きっぱりと言われ、頼もしさに胸がときめいた。
頬がほてるのを感じてうつむくと、「それから」と部長が私の顔をのぞきこむ。
「突然プロポーズをしてしまったけど、大丈夫だったか?」
週末の出来事は全部私の夢なんじゃないかと思っていたけれど、ちゃんと現実だった……!
そう実感して言葉につまる私を見て、部長は心配そうに眉をひそめる。
「やっぱり、あのあと家では大変だったか?」とたずねられ、私は慌てて首を横に振った。