クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

「いえ、大丈夫でした。父と兄はちょっと怒って騒いでいたんですが、母が『めでたいことなのにガタガタ文句を言うな』と一喝してくれて」

「本当に、面白い家族だよな」


 私の言葉を聞いて、部長はそうつぶやく。
 過保護すぎる父と兄に、肝の座った母。たしかにクセがありすぎる。

「あの、部長は本当に私と結婚していいんですか?」

 新谷さんに言われた言葉を思い出し、不安になってたずねた。

 私と結婚したら、これからも父や兄からあれこれ口うるさく言われるにきまっている。
 部長にとってふたりは上司で仕事上の関係も深いわけで、普通なら私との結婚は面倒だから避けたいと思うはずだ。


 私が顔を曇らせると、部長は長身をかがめこちらをのぞきこむ。

「宮下は、俺じゃ不満か?」

 部長は頬にかかる私の髪を綺麗な指ですくいあげながらたずねてきた。

「ふ、不満なんてあるわけがないですっ!!」


    
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