クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
全力で否定すると私の剣幕に驚いたのか、部長は一瞬目を丸くしたあとすぐにぷっとふき出した。
「よかった。それなら、今度改めて家にあいさつに行くよ。きちんと結婚を認めてもらえるように」
部長は本当に私と結婚してくれるんだ。
なんだか夢を見ているみたいだ。
ぽんと頭をなでられ、幸せで胸がいっぱいになる。
憧れの人に優しくされるのがうれしくて、世界がばら色に見えた。
あー、もう。部長、大好きです!
心の中でそう叫びながら身もだえる。
「近いうちに指輪も買いに行かなきゃな」
そう言われ、私は浮かれる気持ちを落ち着けながら顔を上げる。
たしかに、結婚するなら指輪は必要かもしれない。だけど……。
「指輪よりも、まず部長のご家族にもご挨拶をしたいです」
私の提案に部長は少し考えた後で首を横に振った。
「いや、うちの家族は気にしなくていい」
その表情は少し曇って見えた。