クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
結婚するのに気にしなくていいなんて。
もしかして、部長は私をご家族に紹介したくない……?
そんな考えが浮かんで、心の中にわずかな不安が生まれた。
その日のお昼は同僚で仲のいい中谷千波さんと一緒に近くのカフェに来た。
以前は法律事務所に勤めてパラリーガルをしていた彼女は私と同期入社だけど三歳年上。
今は宮下不動産の法務部に所属し国際法務を担当する才女だ。
肩甲骨のあたりまである綺麗なロングヘアを無造作に後ろでひとつに束ね、シンプルなパンツスーツがよく似合う。
彼女は頼りがいがあって優しい私のお姉さん的存在で、部長以外で私が社長令嬢だと知っている唯一の同僚でもあった。