クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 そんな彼女と向かい合ってランチを食べていると「遙ちゃん、週末なにかあった?」と切り込まれ、驚いて思わずせき込む。

「な、なんでですか?」

 ペーパーナプキンで口元を押えながらたずねると、千波さんはふふんと不敵に笑う。

「だって、遙ちゃん心ここにあらずだから。なにかいいことあったでしょ」

 するどい千波さんに指摘され冷や汗をかく。

 ごまかした方がいいのかなと一瞬悩んだけれど、週末からの怒涛の展開を千波さんに相談したくなって口を開いた。

「あの、実は南部長と結婚することになって……」

 言うと同時に千波さんは目をむき「はぁっ!?」と大きな声を出した。

「南部長と結婚って、いつの間に付き合っていたの!?」

「いえ、付き合っていないです」

「じゃあ交際ゼロ日で結婚!?」

 うなずいた私に千波さんは頭をかかえ「理解できない」とつぶやく。


 憧れの部長との結婚に浮かれていたけれど、確かにお付き合いもしていな男女がいきなり結婚するなんてふつうはありえない。


      
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