クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
さっそく部長がひとりで休憩室にいるときを見計らい話しかける。
「あの、部長。迷惑じゃなければ、今度お料理を作りにいってもいいですか?」
勇気を出してお願いしてみると、部長は驚いた表情をした。
用もなくお部屋に押しかけるのは気が引けて手料理を口実にしようと思ったんだけど、迷惑だったかな……。
怖気づきそうになる自分を奮い立たせじっと部長を見上げていると、彼は私から顔をそらした。
目をそらされた。
そう気づいて胸がずきりと痛む。
やっぱり部長は私に好意なんて持っていなくて、責任と打算のために結婚の話を持ち出したのかもしれない。
「わがままを言ってすみません。迷惑ですよね」
しょんぼりと肩を落とすと、部長は慌てたようにこちらを向いた。
「いや、驚いただけで迷惑なわけじゃない」
「本当ですか?」
「いつでも好きなときに来ていいから」
シンプルなキーリングがついた合いカギを取り出され跳び上がる。