全ては君の思うまま
手元のチーズを食べつつ、1人になったカウンターで残りのワインに口をつける。

それにしてもこのワイン、1杯いくらするんだろ。
お金の使い方、とても考えられないと首を傾げる。

ワインをのみ終える頃、鷹野が電話といいながら外に出た。ワイン会の会費は先に払っているから、いつでも抜けられる。
席を立とうとすると、ソムリエが近くにやって来て、ワインボトルの紙袋をくれた。

「お客様が帰られるときに渡すよう言付かっております」

あら、準備のいいこと。

「みんな、今日はもう帰りますので!楽しんでねー」

年増を呼び止めるものなどいない。みんな笑顔で手を振ってくれる。

店から出ると、鷹野がタクシーを待たせていた。

「逃げられるとこまるので」

さりげなくワインボトルをもってくれる。

「逃げないわよ」

タクシーに乗り込み、私たちはお店を後にした。

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