全ては君の思うまま
君との距離
鷹野と寝てしまったことは、間違いだったかもしれない。

なんて、今更遅いよなぁ。
金曜のワイン会、そして結局土曜の午後まで鷹野と一緒にいてしまった。

そして今日は日曜日。
もう、本当に脱け殻。
何も考えたくないんだけど。

『もう俺のこと忘れられなくなったでしょ』

思い出して赤面する。
目の前にあるクッションに顔を埋める。

本当に信じられない、あの男。

あんなにやさしい顔を私に向けてくる。動けなくなってしまった私の頬にキスしてきた。髪をなでて、ずっと抱き締めたまま。

また思い出してしまう。
私はそんなに欲求不満か。
まずい、まずいぞ。

鷹野にこのまま押しきられてしまいそうだ。
しっかりしろ、わたし。
27歳に押しきられてどうする?

もう、本当に経験ないババアはつらい。
自分で言ってて悲しくなるけど、どうしていいのかわからない。

大人の女なら、1日だけと割りきって、サバサバしてたらいいんだろうか。ああもう、自分で自分がよくわからない。

それとも好きになっちゃう?
フラれても耐える?

あぁ、ばかみたい。なんでこんなに振り回されてるんだ。鷹野から、今日は連絡はない。そういえば、日曜も会社行くとかなんとか言ってたっけ。

あぁ、私の知ったことじゃないよね。
しかし、まずい。私、完璧にまずいよ。
鷹野のこと、考えたくないのに考えてしまう。
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