全ては君の思うまま
駅を目指して歩いていた私と鷹野。
こんなことになるなら、三次会も出ればよかったな、と私は少し後悔していて。

「惚れますよ」

横を歩いていたこのオトコは、またそんな冗談を続けている。

「年下に興味はないの」

失笑しながら、なんでもないふりを装う。
本当に困ったなぁと思いながら。

「じゃ、迷惑ですか?」

何が、という意味で首をかしげる。

「俺が寧々さんを好きでも構いませんか」


年上をからかってるんだろうか。
そんなの何が楽しいんだか。

繰り出される疑問符に心臓はドクドクと嫌な音を立てている。動揺してるのがバレてはいかん。というか、なんだこの状況。
なんで私が鷹野に言い寄られている?

いや、私の自意識過剰か。
こんなの若い人たちのあいだではジョークなのか?

酔いすぎた頭を冷やしたいのに、どうにもならない。

「からかうのはよしてよ。私の歳、知ってる?年上に手を出すと痛い目みるわよ」


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