全ては君の思うまま
新幹線の切符を、なんとか買うことができた。
それからの記憶は、何故かない。
最悪のことを、考えたり何をするべきかとかいろんなことを考えたりしたんだろうけど、やっぱり親が死ぬかもしれないというのは、本当に頭の中が真っ白になってしまう。

新幹線を降り、また在来線に乗り換える。そしてタクシーを拾い、病院へ。

私の体から血の気が引いていく。
病院に到着したのと、また妹から電話があったのと同時だった。

「お姉ちゃん、いまどこ?」

「病院ついたよ」

「入り口わかった?」

「タクシーの運転手さんが夜はこっちしか入れないからって教えてくれた」

「待ってて、そこまで迎えに行くから」

夜の病院は静かだ。
けたたましい救急車のサイレンが聞こえ、新しい患者が運ばれてくる。

急患用の受付のソファの前で、座らず妹を待った。すぐに七菜がやってきて、父の病室まで向かった。
< 56 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop