全ては君の思うまま
緊急手術を受けた父は、頭に包帯がされ、呼吸器のマスクをつけて、点滴に繋がれていた。

「見つけたのが早かったのが幸いだったらしいけど…」

妹の話では、父はなんとかもちこたえたらしい。母がずっとベッドの横で父の手をさすっている。

「お姉ちゃん、少し休みとれる?お父さんこんな状態だし、でも旅館の予約は入ってて…。旅館のことは旦那と私、2人いればなんとか回せるけど…」

「わかった、大丈夫。病院には私がいるから」

本当は病院に残りたいのだろうけど、妹は若女将の顔に戻る。

母はもう旅館の裏方に回っていて表へ出ることはない。

「お父さん、七菜は旅館に戻るからね。ちゃんと目を覚ましてよね。まってるからね」

七菜は眠ったままのお父さんに声を声をかけて、後をよろしく頼むと病室を出ていった。

そして私は明日から1週間休みをもらいたいと生島さんに電話をした。

夜遅く、槙から電話が入っていた。朝になってから気がつき、折り返し電話をしてみる。


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