全ては君の思うまま
クリスマスが近いせいか、街もまた、一段ときらびやかにみえる。

タクシーの中で繋がれた手、槙はずっと離してくれない。

来年もまた槙といられるだろうか。

頭の中には、異動希望がちらついている。
もう実家の近くにいられるよう、営業所勤務を希望した方がいいに決まってる。

でもそうなったら、槙とは離れることになる。

寂しいな。

寂しいなんて言えないけれど、槙が与えてくれる安心感は私の中で途方もなく大きくなっている。

ずっと側にいたいのに。


槙の家に入るとすぐ、唇を奪われた。

「会えなかった分、寧々に触れたい」

私の頭の中は、これからのことでいっぱいになっている。今は何も考えたくない。
槙のことだけ、考えたい。
あなたが好き。好きになってしまった。

どうしようもない。
だけど、私は来年たぶんここにいない。
< 62 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop