全ては君の思うまま
いつの間にか眠りにおちてしまって、槙の寝顔を盗み見る。

寝顔、かわいいなぁ。
あんなにきれいな顔が、こんなに無防備にみえる。

槙は私にいい夢を見させてくれた。
こんなマンションに住むことなんて、もう人生に二度とないし、こんな年下のイケメンに愛されることもきっとない。

ワインは好きだけど、東京でなければいけない理由もない。

ワインに携わっていられるなら、どこでも構わないのだ。槙、私のこと好きになってくれてありがとう。

あなたはこれから出世コースを歩んで、どんどん手の届かない人になっていくんだ。
製薬会社の御曹司だなんて、どう考えても釣り合わない。

槙はこのままワインの世界にいるのかな。
それとも会社を継いだりするのかな。


槙の部屋から見える夜景。
なんてきれいなんだろう。

もう終わりにしよう。
抜けられなくなる前に、終わりにしよう。

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