わたしが「呼吸する」とき


新学期を迎え、新しいクラスになって一ヶ月が経ったある日、事件は起きる。


「なつみせんせいー!はやくきて!」


朝の9時になり、教室に入ると、クラスの子の数人が焦ったような表情で廊下から走ってやって来た。

何事かとこの時は思ったが、この事件こそ私の人生のターニングポイントになったと今でも思う。


「早く来てって、どうしたのみんな。何かあった?」

「いいからはやく!まいちゃんがだいちくんをおしてたたいてたの!」

「押して叩いた?園庭にいるんだよね?」


私は子どもたちと急いで園庭に向かうと、既に他の職員が二人の側にいた。

他の子たちも何事かと思い、周りを囲んでいる。


「ごめんなさい!遅くなりました。状況を詳しく教えてくれませんか?」

「だいちくんが友達とサッカーで遊んでいたら、突然まいちゃんがだいちくんを押してきて、更には体を強くバンバンと叩いたそうで。一緒にサッカーをしてた子たちがまいちゃんを止めていました」


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