わたしが「呼吸する」とき


ピンポーン。

電話終了から20分後に、彼は本当に来た。


「本当に、来たんだね。しかも大量のお酒付きで」

「俺も明日仕事休みだから、ちょうどいいじゃん。元気なさそうだから、沢山飲んで元気になろう」


……いや、沢山飲んで次の日は二日酔いで余計元気なくす気がするのですが。

まぁそんなことはどうでもいいとして、彼の顔を見ると何故か先程の陰気が少しなくなるような気分になった。

不思議な魔法のようだ。


彼は警察官だ。

20歳になりたてで、高校卒業してすぐに警察学校へ入校、10ヶ月の初任教養を終え、今は都内の警察署地域課でパトロール勤務をしている。


私と違って様々な時間帯で犯罪の取り締まりや補導などの業務に就く彼の方が大変なはずなのに、私よりも生き生きして仕事をしている。

天職だと思っている彼が、羨ましかった。


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