わたしが「呼吸する」とき


それでも、彼は忙しい時でも必ず電話をしてくれた。

私が仕事から家に帰宅する時間帯とかも何気なく話はしていたので、それを見計らって電話をくれる。

電話できない時は、必ず朝メールで連絡してくれる。


……そんな優しくて、可愛い人なのだ。

濱野幸樹(はまのこうき)という男は。




「おはようございます」


午前9時前。

いつもよりも遅い出勤ではあったが、ギリギリの到着になってしまい、私は焦りながらいつものように挨拶をする。


「おはようございます、菜摘(なつみ)先生。凄い息荒いですけど……大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫。死ぬかと思ったけど、無事生きて出勤できたから、平気平気」


周りの先生たちに心配な目で見られる私。

33歳になったが、恥ずかしいという感情は歳を重ねても感じるようだ。




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