わたしが「呼吸する」とき
私が勤めるのは、都内の閑静な住宅街の近くにある認定こども園だ。
私は就学児クラス(年少・年中・年長)の主任、教務主任である。
年少4クラス、年中3クラス、年長3クラスとやや大規模なこの園の就学児クラスの担任たちの上の立場になって、今年で2年目である。
「菜摘先生。今日の入学式の練習の件なんですけど、いま大丈夫です?」
「大丈夫大丈夫。息は整ったから、話続けていいよ」
「はい。入園児の入場の時なんですけど……」
保育現場で働くようになって14年目。
まさかここまでこの職で働いているとは思わないし、かつての同期は次々に辞めているから、本当に私はこの職を天職だと思っているのだろうか。
最初の数年はつらいことしかなかったと言えるし、私は3年で辞めるのだろうなぁ、とも思っていた。
何故そんな考えが変わったのか。
思い当たる節はある。