@YUMI KO
「これが鳴ってるみたいだね」


まだ寝ぼけているのか、穂香はその中の1台を手にして電話に出ようとした。


あたしは咄嗟にそれを奪い取り、阻止した。


「なにしてるの、そのスマホ使ってないやつだよ!?」


あたしの言葉に穂香は完全に覚醒し、同時に瞬きを繰り返した。


「え……?」


「ほら見て!」


あたしは鳴り続けているスマホを穂香の眼前にかざす。


それを確認した穂香はサッと青ざめた。


「なんで戻って来てるの!?」


悲鳴のような声を上げる穂香。


その時、うるさいほど鳴り響いていたスマホがピタリと止まった。


恐る恐る画面を確認してみると、真っ暗でなにも映し出していない。


試に電源を入れてみようとしても、充電がされていないため電源は入らなかった。


「なんかおかしいよこれ」


あたしはスマホを並べて置き、震える声で言った。


「なんで? なんでここにあるの?」


穂香は半分パニック状態で目に涙を浮かべている。

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