@YUMI KO
熱心に勉強をし、資格を取り、そして起業するのだ。


そうすれば由美子との生活は劇的に変化するはずだった。


このままの生活も幸せだけれど、いつか大ゲンカをしてしまいそうな気がしていた。


少し、焦っていたのかもしれない。


勉強に没頭するあまり、由美子が1人で川へ行ってから随分時間が経過していることに気が付かなかった。


ふと顔を上げるとあれから30分が経過していた。


友則は勉強を一旦やめて窓へと近づいた。


川へ視線を向けた瞬間、友則は絶句していた。


ずぶ濡れになった由美子が大きな岩にしがみついて身を起こしたところだったのだ。


「由美子!?」


友則は叫び、すぐに部屋を出た。


玄関から河原までほんの数十秒の距離だ。


それがとてつもなく長く感じられる。

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