@YUMI KO
相手が何者か確かめてやる。


そんな気分になっていた。


すると次の瞬間……。


オンギャア、オンギャアと、まるで赤ちゃんの泣き声のようなものが聞こえて来たのだ。


さすがに不振に感じた。


あれだけしつこく電話を鳴らしておいてなにもしゃべらない上に、水の音や赤ん坊の泣き声を聞かせて来るなんておかしい。


私はスマホを耳から離して見つめた。


「え……?」


首を傾げた瞬間、スマホの向こうから女のうめき声のようなものが聞こえてきて、思わずスマホを落としてしまっていた。


「このスマホって……」


私が床に落としてしまったスマホは間違いなく、今日車の中から出て来た古いものだったのだ。
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