@YUMI KO
☆☆☆

理香先生の部屋は一階にあり、6畳ほどのシンプルなものだった。


入って右手にクローゼット。


正面の窓の下にベッドが置かれていて、中央には小さなテーブル。


そして左手には仕事机と大きな本棚が置かれていた。


仕事机の上には大きな鞄が置かれていて、中からプリントが覗いている。


きっと、今日の授業の準備が終っていたのだろう。


それなのに、理香先生は忽然と消えた……。


途端に、ゾクリと背中が寒くなった。


言葉にできない不快感が全身を駆け巡って行く。


不快感の原因を探るために部屋の中を見回してみたけれど、とくに変わった様子はなかった。


部屋の中は整理整頓されていて、だけどベッドだけはどうしてか乱れている。


だから余計に気になった。


まるでついさっきまで理香先生がそこで眠っていたような、そんな気配を感じる。


「なにも持たず、靴も履かずに出て行ったんだ」


理香先生のお父さんの声が、どこか遠くで聞こえたような気がした。

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