極上旦那様ととろ甘契約結婚
「好きだよ。十年前の君だけじゃない、頑張り屋で意地っ張りで甘え下手なくせに甘えん坊な成美が好きだ」

仕事ではいつも沈着冷静な瞳は、熱を帯び欲を孕んでキラキラと煌めいて私を見つめてる。そして職場では冷たくひき結ばれた薄い唇は、私にだけ蕩けそうに甘くて情熱的な言葉を紡ぐ。

こんなの嬉しくないはずがない。嬉しくて嬉しくて、体中の細胞が震えるくらい。
今まで知らなかった多幸感に身体を震わせる私は小さく頷くのがやっとで。そんな私に笑みを深めた修吾さんはゆっくりと覆い被さると、軽いリップ音を響かせた。

最初は触れるだけ。やがて何度もゆるく喰まれた私の唇は息苦しさに薄らと開き、深い触れ合いを許す。

「ん……」

微かに声がまじる吐息が忙しくなって、ようやっと解放された時、なんだか唇はぽってりと腫れたような感覚になっていて、それもまた幸せを感じる。

再度抱き込まれて、さっきよりも早くなった二人分の鼓動に耳を覚ます私の髪を修吾さんが優しく撫でる。

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