極上旦那様ととろ甘契約結婚
「いや、まずは注文しよう。好き嫌いは?」

「大丈夫です」

「そうか」

仕事中と変わらず無駄が嫌いらしい。

どれがいいかと聞く事も相談する事もなく、軽く手を上げて店員を呼ぶと勝手に注文していく。こちらへの配慮はさっき好き嫌いの有無を聞いたのが全てらしい。

それなら、と私は真っ正面に座る男性を観察することにかした。

メニューを指し示す筋張ったすらりと長い指、細いけれど意外と肩幅は広いし骨格もしっかりしてる。薄めの唇は話す時も大きくは開かないが、それが顔に感情が出ない理由だろうか。

そうしてよく観察してみて、「なるほど」と納得出来た事がある。
女性更衣室やトイレでよく聞こえてきた「高崎主任って格好良いよね!」というワントーン高いはしゃぎ声。私自身はこれまで一度も思った事がなかったから、それが聞こえるたびに心の中で首を傾げていたのだ。

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