極上旦那様ととろ甘契約結婚
「ーーー何を言ってる？」

「だから昼間の……って、すいません」

うっかりだ。さっきから立て続けにうっかりでちょっと泣きたい。

ぼんやりしていたのに急に会話についていこうとしたから失敗してしまった。〝昼間〟にされた話は二つあったのに。

「ーーー君の中で俺の提案はすぐに忘れてしまう程度のものだったわけだ？」

「いえ。ただ、話とか提案っていうより言い逃げられたって感じだったので」

「言い逃げ、か。昼間のもらい事故に例えたのといい、君のワードセンスは独特だな」

「すいません」

「責めている訳じゃない。むしろ褒めている」

「あ、ありがとうございます」

なんだか妙な気分だ。プライベートな会話などほぼした事のない高崎主任に話し方を褒められている。しかもお礼を言ったら少し照れ臭そうに視線をそらされた。

またじっと観察してしまう私の視線から逃げるように視線をそらし続ける高崎主任を助けるように、その時料理が運ばれて来た。

< 15 / 133 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop