極上旦那様ととろ甘契約結婚
「わぁっ!」

「俺のおすすめをアラカルトで頼んだ。美味いぞ」

珍しく嬉しそうな高崎主任の口調も気になるが、目の前の光景への興味には敵わない。

クリームソースのかかった白身魚はふっくらしているし、ローストされた鶏肉は見ているだけで皮がパリパリなのが分かる。サラダにも沢山の種類の葉野菜が使われていて、見ているだけで楽しくなる。

「ぶはっ!」

どれから食べようかワクワクしていると、向かいから急に笑い声が響いた。
思わず顔を上げると、初めて見る全力の笑顔。

「え?」

「ああ、すまないっ……くくっ。キミがまるで子供みたいな顔をするから」

「すっすいません!」

そんな物欲しそうな顔をしてただろうか。慌てて頬を両手で隠すと、その様子を見てまた笑われた。

「くくくっ。いや、本当にすまない。笑うのは失礼だな」

一応、笑うのは失礼だと本当に思っているのだろう。口元に手を当て懸命に堪えては、いる。堪えられてはいないけれど。

あまりに笑いが止まらないのでじとっと睨むと「んんっ」と高崎主任が咳払いをした。空気を変えるようだ。

「魚と肉、選べないならシェアしよう」

「は、はい」

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