極上旦那様ととろ甘契約結婚
初めての二人っきりの食事でシェアするのはなかなかにハードルが高い。なんだか一気に距離が近付いた気もするし、どうにも恥ずかしい。

だが戸惑う私をよそに、綺麗に取り分けたお皿を渡してくると、高崎主任はさっさと食べ始めた。ナイフフォークを器用に扱って綺麗な食べ姿で、きっと良い家庭で育ったんだろうなぁと想像出来る食べ方。

「どうした?食べないのか?」

「いえ。い、いただきます」

視線を上げて促されて、私もようやく観察を終えて食べ始めた。

「んん〜。おいっしい!」

クリームソースは上品でしつこくないし、白身魚もしっとりふっくら。鶏肉はナイフを入れるたびにパリパリと美味しそうな音を立てる。見た目以上、想像以上の美味しさだ。

「食べる事、好きなんだな」

「そうですね。母が食べる事が好きだったので。私もすっかり影響されて」

「いい事だと思う。ダイエットだの栄養素だのばかり気にして食事を楽しめないのは、一緒に食事をする人間も不幸にするからな」

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