極上旦那様ととろ甘契約結婚
だから私は慌ててフォローを入れる。入れてから初めて、本当に嫌じゃない事に気付きながら。

「なら良かったよ」

そう言って作業を再開した主任、じゃなくて修吾さんは口角がほんの少しだけ上がっていて、私も何故だか頬が緩んだ。



それから、ほんわかとあたたかい空気の中作業を続けて。その空気はお蕎麦屋さんへ行っても区役所へ行っても変わらなくて。

帰り道に夕飯の材料を買おうとスーパーへ寄った時には自然と距離が近くなっていた。

「何食べたいです?」

「そうだな。簡単に鍋とかどうだ?」

「いいですねぇ。じゃあ、寄せ鍋にしましょうか」

「それもいいが、キムチ鍋も食べたいな」

「ダメですよ。しゅに……んごさんは明日は仕事なんですから。ニンニクが臭います」

「ぷっ」

なんとか誤魔化せたと思ったけどやっぱり無理だったらしい。修吾さんは片手で顔の下半分を覆っているが、堪えきれないのか笑い声が漏れてくる。

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