極上旦那様ととろ甘契約結婚
家族を亡くして一人で生きて行くのだと決意した日から必死だったから。ずっと踏ん張って生きてきたから。
お互い別々の事をしていても一緒に過ごす空間が心地良い事に、相手を気遣いあう日常に、過剰に反応してしまったのかもしれない。

でも、どれだけ言い訳してみても情けないことに変わりない。ずぶずぶと沈み出した感情に泣きたくなった時、着信音が響いた。
働いている時はずっとバイブにしていた着信は、すぐに気付けるように今は着信音をオンにしている。

「和食、かぁ。……よしっ」

それは修吾さんからの夕飯のリクエストを伝えるメッセージで。私はパンっと軽く頬を叩いて、気持ちを切り替えた。




そして。修吾さんが帰宅したタイミングでダイニングテーブルに並べたのは『ザ・和食』な夕飯。

「旨そうだな」

席についた修吾さんの呟きに心の中でガッツポーズをする。

「今日はちょっと張り切ってみました」

テーブルの上にはブリの照り焼きに筑前煮、箸休めにワカメと胡瓜の酢の物。
大根のお味噌汁とご飯を運びながら、私はちょっと自慢げだ。

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