極上旦那様ととろ甘契約結婚
当事者を抜いて盛り上がる会話にもう一度大きくため息を吐いて、私はカランとフォークを皿に投げ出した。どうせこんな精神状態で食べられるわけがないのだ。

高い頻度で通ったお気に入りのパスタランチともあと一ヶ月ちょっとでサヨナラだと思うとちょっと惜しいけど。

「で、これからどうするの?」

仕事場で出会って友人になった彼女達との付き合いはどうなるだろう?毎日一緒にランチを取らなくなったら自然と疎遠になるのだろうか。ぼんやりと見つめていて少し返事が遅くなった。

「あ、え?」

「だから。次の仕事どうするの?このまま同じ会社から紹介してもらって派遣に行くのか、別の会社に登録するのか」

「うーん、そうだね。でも今回の事があるからなぁ。ちょっと考える」

「そっか。相談ならのるからね。」

「うん、ありがとう」

そうして会話がひと段落すると彼女達はまたパスタをくるくるとフォークに巻き取り始めた。表情も元どおりなのをみると、やはりどこか人事なんだろう。

それを見て「疎遠になるかもなぁ」とひとりごちると、私は一言謝って先に職場に戻る為に席をたった。
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