極上旦那様ととろ甘契約結婚
まだ理由は聞いていないが修吾さんは通常の恋愛結婚をするつもりがないのだから、私のドキドキを伝えても望む方向に進展するとは思えない。
伝えても避けられるか、最悪契約違反だと離婚される可能性だってある。

となると私には取るべき道は一つしかなくて。

つまり、修吾さんへの恋心を隠し通す事にした。些細な出来事に静かに微笑んでくれる彼に時々どうしても抑えられないくらい心拍数が上昇しても、どうにかやり過ごして。

最近残業で帰りが遅い日が続いている事を心配した時も、過剰に干渉する事もさりとて冷たくもない、家族的な会話で伝える事が出来た。雨が降りそうだと出勤前に傘を渡せたのも家族っぽいと思う。

そうやって穏やかな日々を数週間過ごしていたのに、一本のメッセージがさざ波を起こした。



『久しぶり!元気してる?』

それは同僚派遣だった子からのひさしぶりの連絡だった。

辞める時、私は職場には社員の職が見つかりそうだと説明した。「結婚は永久就職とも言うから嘘にはならないだろう」という解釈を採用したのだ。
正直に説明すると色々とややこしい事になりそうなのは想像出来たし、私自身が今後も頻繁に連絡する相手ではないと判断したのもある。

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