極上旦那様ととろ甘契約結婚

瞬間、〝浮気〝の二文字が頭によぎる。

でも、浮気のはずがないと思う。たとえ契約であってもそんなことはしない誠実な人だと信じている。でも、もしかして？だって私は信用されてる？さっきまでの思考が猜疑心を煽る。

皮膚の上を不安が這って、酷く不快な感覚が全身に広がる。ちゃんと会話しないと、と思うのに上手く声が出ない。

「……誰、ですか？」

ようやく出たのは不安が表れた小さなかすれた声。

『あっ！違うんです！あの、勘違いしないで下さいね！！私、修吾の従姉妹で満島あゆみといいます』

それが伝わったのだろう。電話の向こうからは慌てた様子で矢継ぎ早な言葉が聞こえてきた。

「従姉妹さん、ですか？」

『はいっ！あの、聞いてませんか？』

「ーーー申し訳ありません。修吾さんはご自分の親族の事はあまり話されないので……」

『あー……それはこちらこそ申し訳ありません。修吾ってばプライベートとなると全然報連相が出来ない奴で。成美さんにはご苦労かけます』