極上旦那様ととろ甘契約結婚
『今すぐ、電話を切って外出の用意をしてください』

「は、はいっ。……って、あ……」

勢いにつられて電話を切ってしまった私は、スマホを見つめて固まった数秒後に自分史上最速で準備に取り掛かった。

分からない事は多い、いや分からない事だらけだけど、電話を切ってしまった以上相手の指示に従うしかない。

とにかく全速力で着替えて見苦しくない程度にメイクを直し、スマホを鞄にしまおうとしたタイミングでまた着信音が鳴った。

「はいっ」

『成美さん、準備は出来ましたか？もうすぐマンションの正面玄関にタクシーが着くのでそれに乗って下さい。運転手さんにはこちらの住所も伝えてあるので乗ってもらうだけで大丈夫です』

「分かりました」

きっとこの「満島あゆみ」さんは仕事の出来る人なんだろうと思える的確な指示だ。さっきの会話で私が呆けているのを察知して色々手配してくれたらしい。
最初の方はプライベートな口調で、後の方が仕事モードの話し方なんだろう。

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