極上旦那様ととろ甘契約結婚
そう、本当にそんな事はなかった。だって修吾さんは私にずっと隠してたから。私に知られないように仕事をこなしてくれて、わたしはちっとも気付かずに幸せだと勝手に満足してた。一緒に暮らしてたくせに、修吾さんが何をしてるのかちっとも気付こうともしてなかった。
「詳しくは話せないんだけど、今回の件は本来なら跡継ぎの航一郎が対処すべきだったと思うの。でもお恥ずかしい話、新入社員に毛が生えた程度の実力不足な奴で。私も働いてるかとはいえ秘書課の一社員だしね。かと言って身内でケリをつけないと一族の求心力が落ちるし、派閥争いの火種にもなりかねないって、父が修吾に泣きついちゃって」
「大変、だったんですね……」
「会社規模が大きいと、世襲の一族経営は色々難しい事も出てくるの。だからって他の会社で働いてる修吾に無理させていい理由にはならないんだけど、ね」
本当に申し訳ないともう一度頭を下げて、あゆみさんは部屋を出て行った。
勝手に隠し事されてると被害者ぶって傷ついていた自分が恥ずかしい。
残された私はいつもより少し青白い修吾さんの顔にそっと触れて、体温を確かめる。頬はちゃんと温かくて、私は小さく安堵の息を吐く。そしてそっと声をかけた。
「詳しくは話せないんだけど、今回の件は本来なら跡継ぎの航一郎が対処すべきだったと思うの。でもお恥ずかしい話、新入社員に毛が生えた程度の実力不足な奴で。私も働いてるかとはいえ秘書課の一社員だしね。かと言って身内でケリをつけないと一族の求心力が落ちるし、派閥争いの火種にもなりかねないって、父が修吾に泣きついちゃって」
「大変、だったんですね……」
「会社規模が大きいと、世襲の一族経営は色々難しい事も出てくるの。だからって他の会社で働いてる修吾に無理させていい理由にはならないんだけど、ね」
本当に申し訳ないともう一度頭を下げて、あゆみさんは部屋を出て行った。
勝手に隠し事されてると被害者ぶって傷ついていた自分が恥ずかしい。
残された私はいつもより少し青白い修吾さんの顔にそっと触れて、体温を確かめる。頬はちゃんと温かくて、私は小さく安堵の息を吐く。そしてそっと声をかけた。