【短編】クリギリ・ナイト
「は・な・し・て・」



強い口調で、俺を拒む幸。



俺はその言葉で、我にかえり


「あ…ごめ……」



あやまろうと思ったその時。



スローモーションのように、幸の右手が飛んできて、俺の頬を直撃した。




「イテェー!!」



こいつ、ひねりまで入れやがって!!



こんな可愛い顔して、なんて力なんだ!!



女の力じゃあねーぜ!




俺はすっかり忘れていた。


少し意識が飛んだのか?



全校生徒が見てる前で。


おおげさか。



俺は女に殴られたぁー!!



女の子のキャァー優く〜んの声と

男の笑い声が、重なった。



俺…かっこわりぃ〜。




でも俺は何事もなかったように、女の子たちに、ニカッと微笑み、するりと校門の外にでて、誰も見てないことを確認すると、その場にへたりこんだ。



少し熱い頬を優しく撫でながら



幸…


必ず落としてみせるぜ。


そう心に誓った。




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