【短編】クリギリ・ナイト
それから、しつこいぐらいに、幸の教室をうろうろとした。


「ねぇ、ねぇ、優先輩だよね。なんで、優先輩がいるの?」


なーんて、あちらこちらから聞こえてくる女の子の声も無視して、幸を待った。

ただ、なにげに、さりげに、うろうろした。


んが、気がつくと、俺のまわりを女の子達が取り囲んで。


髪の毛のいい匂いと香水の甘い香りに包まれて、どうにもこうにもならない状況で。



「優先輩、先輩が2年のクラスに来るのって珍しいですけど、誰に用事なんですか?」



「ひ・み・つ」


唇の前に指をたてて、可愛く言ってみた俺。


「キャアー!!
かっこいい〜。」


いっせいに女の子の高い声が重なる。


かんにんしてくれよぉ〜


俺の目的は幸だけで、君たちには興味ねーの。


と、心で思いながらも、それでも、口角を少しあげ、含み笑いをわざと浮かべる俺。


「キャアー!!」



何にでも反応するのね、女の子。



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