【短編】クリギリ・ナイト
その時、幸がやっと友達と教室から出てきた。


「あっ、ちょっといい?」

幸はびっくりした顔で、俺をまっすぐ見つめて。



「優先輩、この前はすみませんでした。
あの…私…」



なんだ、なかなか素直で、いいんじゃあない。



「ごめんね、ちょっと君と話がしたくて、いい?」


幸はこくりと頷き、俺の後をついてくる。


そのまま、幸の手を握り、女の子たちを掻き分け逃走した。


女の子たちは、あまりの早さに、ぽか〜んと口を開けていた。



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