【短編】クリギリ・ナイト
「なんで?
ねぇ、優、なんで…?
今日はイブなんだよ…
ここまでって、どういうことよ?」



「ご、ごめん…
今度ちゃんと、埋め合わせはするから。」



そうこうしている間に麻美ちゃんを乗せた車は急発進してしまっていた。


ああ、見失った。



「幸…ごめん。」


幸の顔がみるみるうちに鬼のように変わっていき


俺が目線を下に落とした瞬間


幸の小さい手が俺の顎に触れ、持ち上げられ


バッシンンンーー!!


凄い音がしたかと思ったら

おもいっきり殴られてた俺。



「イテーー!!」


あまりの痛さに大声を上げてしまった俺。



幸のパンチ


ひさしぶりー!!




「なんて、男なの!
だいたいね、今日が何の日か、わかってんの?
優なんか、優なんか…
大キライ!!」



車をおりて、走っていく幸の後ろ姿を呆然と目で追うしかなかった。




そ、そんなに大事か?


今日がそんなに大事なのか?


明日になったら、デートできるのに…



イテテ…


頬がジンジンするぜ!!



ってか、俺…フラレタのかよ?



あれ…フッタのか?


イテテテテテ…





< 41 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop