【短編】クリギリ・ナイト
「あの…聞いてますか?」

妹の、りこが、いつの間にか、俺をガン見していた。

俺の心は震えながら
「は、はい。」

と、答えるのが精一杯で、りこのメガネの奥の瞳をチラッとみた。


なんて、なんて、綺麗なブラウンの瞳なんだ。


「あの…優くんでしたっけ?」


「そ、そうです。優くんです。」


「良く見ると、かっこいいんですね。」


そんなことを言うなんて、男なれしてるとか?


まさかだろっ。


どうみても、男には不慣れそうだし。


だいたい、ぴしっと揃った前髪と後ろ髪だぜ。


気のせいだ。


気のせいに違いない。


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