【短編】クリギリ・ナイト
約束の時間は、午後6時。

30分前から、玄関の前に車を止めて待ってた俺。


煙草の数だって、半端ねぇ。


勢いよく、玄関の扉があき、可愛いりこちゃんがでてきた。


おぅ〜と車の中で叫んだ俺。


バッチリ揃った前髪は風が吹いても、びくともしない。


ボロボロのジーンズに、黒のコートを羽織り、出てきた、りこちゃん。


初デートで力の入っていない、りこちゃんがいいっ。

自然体な姿を俺に見せたいっていうのか?


助手席にするりと乗り、俺をみて、ニコッと微笑む、りこちゃん。


「優くん、ごめんね、待った?」


「ううん、今きたとこ。」

そういう俺の車の灰皿は煙草でいっぱいで。


「じゃあ、行こうか。」


落ち着け、俺。


「りこ、こんな格好でごめんね。いつもの格好を優くんに見せたかったから。」

「うん。」


やっぱりだ。

かわい〜い。
もう、ダメだよ、俺。


「あっ、りこ、居酒屋いきたい〜。」


「じゃあ、そうしょっか。」


実は俺、お洒落なお店予約してたんだけど、後でキャンセルだな。


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