【短編】クリギリ・ナイト
僕はあまり話せず、黙々と食べるばかりで。


その間、まゆさんは、ニコニコして僕の顔を眺めていた。


「司くん、これから、どうする?」


「寒いけど、海、みるとか?」


こんな寒い日に海って、なんてこと言ったんだ、僕。

風邪ひいてしまうよ。


やっぱ動揺してんのかな?

「…海…いいかも?冬の海って、あまり行った事ないから。」



えっ?いいの?寒いよ。


「あはははっ、じゃあ行きますか。」


「うん。」


まゆさんは僕の横に並び、また、ポケットの中に手を突っ込む。


僕の心臓がドタバタと忙しく動く。


そのまま、歩いて10分、海に到着した。


さすがに、冬の海には誰もいない。


二人の足跡だけが暗い砂浜に残るだけだ。


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