【短編】クリギリ・ナイト
冷たい風が頬にあたって、痛いぐらいだ。


「司くん、まゆ、さむ〜い。」


「もっとこっちにくる?」

あまりの寒さのために、自然に口からでた言葉。


「うん。」


僕達は砂浜に腰をおろし、僕はまゆさんの身体を後ろから優しく抱き締めた。


ただ、黙って抱き締める僕に、まゆさんは。


「司くん、あったかいよ。」


僕は腕の力を強め、まゆさんをまた抱き締める。


この…後ろからの密着感がヤバイ。




海に来てよかったよ。


海じゃあないと、こんなに密着しないぞ。


これは、僕の方からいわなきゃあ、男じゃあないよ。

女の子に言わせちゃいけない。


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