君の描いたクローバー〜遠く離れても、きっと〜
窓の外を流れていく景色を見たり、工くんと話したり、三十分ほど電車に揺られた。

隣街の駅から歩いて十五分ほどのところにその美術館はある。真っ白な壁のきれいな建物だ。中には絵画を展示してあるだけでなく、ゆっくり休めるカフェテラスなどもあるらしい。

「昼はそこで食うか」

工くんの定案に私はすぐに頷き、賛成した。

美術館は、絵画コレクションをするだけあって美術部の生徒たちや家族連れ、絵画好きの人たちで賑わっている。

入場料を払い、いざ中へ!

「わあ……!!」

いきなり目の前に現れたのは、ミケランジェロの描いた「最後の審判」だ。バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれたフラスコ画。大きな紙に描かれて天井から吊るされている。

「すげえな……。いきなりデカいのがきた」

隣で驚きながら巨大な絵を見つめる工くんに、私は「あの聖バルトロメオが持っている皮が見える?」と訊いた。

「あ、あれか。皮だけの怖い人……」

「あれはミケランジェロ本人なんだって」

「えっ!マジかよ!!」
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