君の描いたクローバー〜遠く離れても、きっと〜
今日もお母さんがやって来て、「アメリカに行こう」と私を説得する。でもね、もうそんな言葉なんかで私の心は動かないの。

早く退院したい。退院して工くんとの思い出を作って幸せなまま天国に行けたら……。

「何勝手に死のうとしてんだよ!!」

うつむいていた私の肩が掴まれる。工くんだった。でも、その目はとても怒っている。こんなに怒る工くん、初めて見た。

「話は全部聞いた。お前、死ぬつもりなのか?」

いつもよりずっと低い工くんの声に、私の体は震える。

「だって……工くんと離れなくちゃいけなくなる。そんなの嫌だ。離れたくない!別れたくなんてないよ!」

私が泣き出した刹那、ピンッとおでこをはたかれる。めちゃくちゃ痛い。

「お前、馬鹿だろ!誰が別れるって言ったんだよ!!」

工くんはそう言い、かばんの中から絵を取り出す。画用紙に描かれた絵。クローバーを持った私と工くんが絵の中で楽しそうに笑っている。
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