君の頭を侵略パラノイア
夕映えを背景に、わざと黒い角に頭をぶつけて流血。
脱色されて傷んだ髪と髪の隙間からダラダラ流れてくる血液で、次第にその場が紅一色と化すのに、たいして時間はかからなかった。
手を振ってバイバイする暇も無く、意識はボヤケテゆくのがわかる。
チックタック… チックタック…
古時計の微かな音はBGMになり、皮肉にもソレが心地よくて眠りへと誘う。
わざとなんだよ。
うん、わざと。
電源がついたままのアナログTVに映るのは、トキメク恋愛映画でもなければ愉快なバラエティーでもない。
耳を蝕む煩い砂嵐。
まるでこの現実そのものさ。
すべてを失い行き場を無くした僕の辿り着く所は、ほらこうするしかないだろう?
だからわざとさ。
頭から垂れてきた血液がクチの中へ入り込み、吐き気を催す。 鉄のようなその味。 おやすみ。 消滅。
砂嵐と流血事件。