僕の家族はなによりも…。
サファイア色の思い出
ガシャンッ!!
「どうしたの?」
「…嫌なこと思い出した」
僕は目の前にあるタッチパネルを投げて壊した。
由紀は、僕を振り返ったけど再度彼女に向き直る。
「嫌なことって?7年前のこと?」
「うん。忘れていたことを思い出した」
地下室の奥にいる由紀に歩み寄る。
目の前では壁にだらりと倒れている西山小波。
彼女の息は、既に無くなっている。
「…これで、全部終わったね」
「なにもかも……、僕らの呪縛も全部解けた」
「嬉しいな……、やっと終わった。7年間の呪縛はキツかったし」
ここは、とある研究施設の地下室。
僕ら福井家の双子を救ってくれた真莉や、実莉ちゃん、水野さん達や桧山くん達には感謝しきれない。
7年前の今日、僕と由紀は西山小波に呪縛をかけられた。
それは、彼女の思い通りである研究材料。
出来上がったばかりの薬品を僕らに飲ませ、結果を何度も記録させたり。
両目に機械をつけられて、死体の画像を何枚も覚えさせられて…一生脳内からは離れない。
「ばいばーい、お母さん。さっきはひどいこと言ってごめんね。だけど、過ちを犯してばかりだった君にはお似合いの言葉だったと思うよ?全部本心だったし」
由紀は西山小波の手のひらを握り締めながらそう言った。
今から、この遺体を燃やす。
完全に成仏させ、来世へ転生させなければならない。
それは僕達、家族に仕向けられた運命だ。
マッチに火をつけると、彼女の足に火を移す。
身体が溶けていき、跡形もなくなった。
最後には骨が残り、由紀は容赦なくそれを踏み潰した。
7年間、呪縛に縛られていた僕達の痛みはこれくらいじゃ収まりきらない。
「由紀、今から…」
「わかってる。一緒に行こう」
由紀は短い髪の毛を揺らして微笑むと、奥のエレベーターに向かって歩き出した。